人吉・球磨地方って何県のどこ?豊かな自然から生まれたおいしい特産品も紹介

澄み切った空気、緑豊かな山々……。
そしてどこまでも続く清流。

そんな大自然の中に、いくつかの町々が集まった場所があります。

それが、熊本県の南部に位置する「人吉・球磨地方」です。

人吉・球磨地方には豊かな自然が育んだ、おいしい食べ物や文化がたくさんあります。

当社でも人吉・球磨地方が生産地の商品を、多く取り扱っています。

今回は魅力の詰まった人吉・球磨地方について今回は詳しく紹介します。
このコラムが人吉・球磨地方で生まれた商品を手にしていただくきっかけになれば幸いです。

人吉・球磨地方はどこにある?

熊本県の地図。向かって右下が人吉・球磨地方
図1

人吉は熊本県の南部、人吉盆地の西南端に位置します。(図1参照)

南は鹿児島、宮崎の両県に接しているため、熊本を含めた3都市へ約1時間でアクセス可能です。

球磨地方は熊本県の南東部にあたります。

球磨「地方」と言いますが日本の8地方区分との関係はなく、人吉市と球磨郡をまとめて「球磨地方」と呼んでいます

球磨郡とは?

人吉・球磨地方の詳細を示した地図イラスト

球磨郡とは熊本県の南部にある群で、下記の町や村の総称です。

  •  錦町(にしきまち)
  •  多良木町(たらぎまち)
  •  湯前町(ゆのまえまち)
  •  水上村(みずかみむら)
  •  相良村(さがらむら)
  •  五木村(いつきむら)
  •  山江村(やまえむら)
  •  球磨村(くまむら)
  •  あさぎり町(あさぎりちょう)

ちなみに、球磨郡は略して「球磨」と呼ばれることも多いです。

「郡」とは?

「郡」とは、町や村の集まりのことで、市や町、村はそれぞれ人口や戸数の多さで分類されます。

人吉・球磨地方の地形

人吉・球磨の風景

人吉・球磨地方は典型的な盆地を形成しています。

九州中央山地に囲まれた盆地は昼夜の気温差が大きく、一部の地域では霧が発生しやすい特徴があります。

ちなみに、これは球磨郡の一つである「あさぎり町」の名前の由来とも関係しています。

人吉・球磨地方の地形で特筆すべきは、地域の中央を流れる川でしょう。

「球磨川」と呼ばれるこの川は日本三大急流に数えられ、昔から地域の水運や農業用水として住民を支えてきました

人吉・球磨の歴史

人吉・球磨の景色

人吉・球磨地方は、鎌倉時代の初期から幕府の命を受けた相良氏によって統治されていました。

相良氏が統治していた期間は、鎌倉時代の初期から明治維新を迎える頃までの、およそ700年と言われています。

地方の外から来た、いわば余所者である相良氏が排斥されなかった理由は、民衆に寄り添った政策にあったそうです。

彼は、前任の領主に関わる自社仏閣や仏様を残すことで、人吉・球磨地方の伝統や文化を受け入れました。

こうした相良氏の肯定的な姿勢を見た民衆は、次第に彼を受け入れ始めます。

また、相良氏は当時の貴重品であった米を使用した米焼酎の醸造や、それに伴うウンスンカルタなどの余興も解放したそうです。

さらに相良氏は、人吉・球磨地方をより豊かな土地にしていくため、外部から最先端の技術や文化を取り入れることも欠かさず行いました。

新しい技術などを取り入れることで、人吉・球磨地方のさらなる発展を実現させたのです。

かの有名な歴史小説家・司馬遼太郎氏は、人吉・球磨地方のことを著作『街道をゆく』でこう表現しています。

日本でもっとも豊かな隠れ里

司馬遼太郎氏がこう語ったのには、こういった所以があったのです。

人吉・球磨の文化

赤色や黄色、緑で塗られた木工玩具きじ車

「日本でもっとも豊かな隠れ里」と称された人吉・球磨地方ではさまざまな寺社仏閣などが日本遺産を構成する文化財として認定されています。

しかし、人吉・球磨が誇る文化はこれらだけではありません。

この章では人吉・球磨のさまざまな文化について紹介します。

工芸品

人吉・球磨地方には、さまざまな工芸品がありますが、中でも有名なのは木工玩具でしょう。

「きじ車」と呼ばれるおもちゃは野鳥のキジをモチーフとして、桐などを用いて作られています

子どもの成長を願う縁起物でもあるきじ馬は、黄色、赤色、緑色のカラーリングがチャームポイントと言えるでしょうか。

1995年にはきじ馬を模した鉄道が走っていたことも。

わずか2年半の運用でしたが、地元だけでなく多くの観光客からも愛されていました。

人吉・球磨地方の工芸品と言えば、きじ馬と並んで欠かせないのが「花手箱」でしょう。

花手箱はひのきや杉、もみなどの板を使った箱で、椿のイラストが全面に描かれています。

赤と緑で描かれた椿のイラストは、思わず目が奪われるほど色鮮やかです。

鍛冶製品

豊かな山に囲まれた人吉・球磨地方ではかつて狩猟が生活の源として盛んであり、そういった環境の中で山林刃物、土農機具が独自に発展することは当然とも言えるでしょう。

こうした文化の発展から、当時の技術が「人吉球磨刃物」として現在に至っています。

中でも人吉市の鍛冶屋町は、熊本県内でもっとも歴史の長い鍛治職人の町として知られています

かつてこの街には60軒ほどの鍛冶屋が軒を連ねていましたが、今では残る鍛冶屋は数件となりました。

しかし、数軒となった今でも、刃物作りの技術は健在です。

主に農作業用の刃物や武具を作っていた鍛冶屋ですが、今は当時から受け継がれた技術を用いて、包丁などの家庭用刃物を生み出しています

木工品

豊富な資源のある人吉・球磨地方では、これらの資源を元に作られた挽物(※)やたんすなどの家具類が盛んに作られています。

人吉・球磨地方の家具は、一枚板を用いて金釘を使わず「剣留工法」と呼ばれる技術を用いるのが特徴です。

剣留工法は釘を使わず、木材を組み合わせて作る伝統的な家具の技法で、木材に凹凸を施してぴったりとパズルのように組み合わせます

少しでもズレが生じると見た目が悪くなるのはもちろん、使用感や強度にも大きな影響が出てしまうため、とても高度な技術が求められます。

こうした人吉・球磨地方の職人による繊細な技術によって、木目の美しさや堅牢さが際立つ木工品が誕生するのです。

※挽物(ひきもの)はろくろによって材料を回転させ、それに刃物を当てて削り出し、成形する木工品のこと。

豊かな自然が育む人吉・球磨の特産品

人吉・球磨地方を語るうえで欠かせないのが、農産物や果物、球磨牛などの畜産物です。

国内でもトップクラスの水質を持つ球磨川と、九州山地の山々に囲まれて育まれた特産品は、知る人ぞ知る名品。

この章では人吉・球磨地方の特産品について紹介します。

お米のイメージ写真

米をはじめとする農作物は、昼夜の寒暖差が激しいほど、うまみや甘みが増すと言われています。

これは暖かい日中に光合成でより多くの栄養分を作る一方、気温の低下する夜は農作物の働きが不活発的で、消費される栄養分が少なく済むためです。

九州山地に囲まれ盆地の地形になっているうえに、国内でもトップクラスの水質を誇る球磨川が流れる人吉・球磨地方は、米の育成にうってつけと言えます。

球磨焼酎

球磨焼酎は、人吉・球磨地方で500年以上に渡って作られてきた本格米焼酎です。

土地に流れる豊かな水、その水で育った米を用いて作られた球磨焼酎は香り高く、すっきりとした喉越しが特徴

お米のみを100%原料としているため、和食との相性が特に抜群です。

乳製品

球磨盆地が持つ特有の気候風土と、清流「球磨川」がもたらす肥沃な大地は家畜の育成にぴったり。

ストレスの少ない環境でのびのびと育った牛から取れる牛乳や、それを使ったヨーグルトなどの加工品は、牛乳本来の甘さと味わいが特徴です。

味噌・醤油

球磨川の恩恵は大きく、人吉・球磨地方の味噌や醤油作りにも関係しています。

この地域で作られる味噌はあまり熟成させない場合が多く、色味が白っぽいのが特徴です。

また、九州では麦味噌が主流ですが、この地域では米作りが盛んなこともあり、米味噌も広く親しまれています

味噌汁にしてみるとあっさりとした味わいで、味噌の優しい甘さが感じられるでしょう。

風土の特性上、昔から味噌・醤油作りが盛んだったこの土地では多くの醸造所があり、それぞれ伝統の味を守り続けています。

例えば、人吉・球磨地方を代表する醸造所である「釜田醸造所」は、この地域でもっとも古い老舗の味噌・醤油醸造所です。

天然のもろみを使用するこだわりの製造法や、四代にわたって受け継がれてきた製造法を基礎に、九州醤油独特のコクと深い味わいを追求しています。

人吉・球磨の恵を毎日の食卓に

豊かな自然が育んだ、人吉・球磨地方の特産品。

そのおいしさを、ぜひ毎日の食卓でも味わってみませんか?

当社のオンラインサイトでは人吉・球磨地方の味噌や醤油、球磨焼酎など、自慢の逸品を多数ご用意しています。

日常使いから特別な日のごちそうまで、幅広いシーンでご利用いただけます。

この機会にぜひ、ご家庭で人吉・球磨の味をご堪能ください。